2009 Fiscal Year Annual Research Report
水銀耐性トランスポゾンを指標にした細菌の遺伝子水平伝播頻度の解析
Project/Area Number |
20570027
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松井 一彰 Kinki University, 理工学部, 講師 (40435532)
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Keywords | 芽胞形成水銀耐性細菌 / TnMERI1 / 遺伝子の水平伝播 / 水銀耐性トランスポゾン / 遺伝子の分散 |
Research Abstract |
細菌の遺伝子水平伝播頻度を評価するために、芽胞形成水銀耐性細菌が持つ水銀耐性トランスポゾン「TnMERI1」を指標として以下のような実験を実施した。 「TnMERI1」様のトランスポゾンを持つ細菌の分布状況(継続) 「TnMERI1」様トランスポゾンの全球規模での分布を知るために、昨年度見つかった南半球の土壌に生息する芽胞形成水銀耐性細菌のトランスポゾン構造を解析した。その結果、これまでにアジアやヨーロッパで見つかっているものと同一な「TnMERI1」様トランスポゾンが発見され、同トランスポゾンが全球規模で分布している事が示された。今後これらのトランスポゾンが実際に転移能をもつかどうかについて評価をおこなっていく。 実験生態系を用いた遺伝子伝播頻度の定量化と遺伝子伝播に関わる環境要因の解析 1)淡水域および汽水域の河岸土壌を採取し、土壌中における水銀耐性トランスポゾンの定量を実施した。本年度購入した分光光度計を用いたDNA定量と定量PCRを用いることによって、土壌中の「TnMERI1」様トランスポゾンの動態を追跡できるようになった。ここで用いた方法を環境中のウィルス検出にも応用し、その成果を学術論文として報告した。今後は水銀耐性細菌の添加、水銀負荷、栄養塩添加といった外来因子が水銀耐性トランスポゾンの転移に及ぼす影響について、実験生態系を用いた評価をおこなっていく。 2)淡水環境を模した実験生態系を作成し、実験生態系における「TnMERI1」様トランスポゾンの生残性から、野外における遺伝子水平伝播の成否を評価するための実験を開始した。
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