2010 Fiscal Year Annual Research Report
水銀耐性トランスポゾンを指標にした細菌の遺伝子水平伝播頻度の解析
Project/Area Number |
20570027
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松井 一彰 近畿大学, 理工学部, 講師 (40435532)
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Keywords | 芽胞形成水銀耐性細菌 / TnMERI1 / 遺伝子の水平伝播 / 水銀耐性トランスポゾン / 遺伝子の分散 |
Research Abstract |
細菌の遺伝子水平伝播頻度を評価するために、芽胞形成水銀耐性細菌が持つ水銀耐性トランスポゾン「TnMERI1」を指標として以下のような実験を実施した。 1) トランスポゾン上にコードされたmerA遺伝子を対象に、環境中における「TnMERI1」様トランスポゾンの定量的な検出を試みた。定量PCRを用いた定量においてmerAのどの領域を増幅対象にするかを検討した結果、対象領域の違いは定量値に差を生じさせないことが明らかになった。次に1m以内に近接する土壌間でmerAの定量値を比較したところ、土壌間での定量値には有為差が見られた。このことから、土壌における「TnMERI1」様トランスポゾンの分布は不均一であり、環境中では遺伝子の水平伝播が起こりやすい場所と起こりにくい場所があることが想定された。これら結果の一部をとりまとめ、2010年11月の微生物生態学会にて発表をおこなった。 2) 全球規模での分布を知るために、昨年度見つかった南半球の土壌に生息する芽胞形成水銀耐性細菌のトランスポゾン構造の塩基配列を解析した。その結果、これまでにアジアやヨーロッパで見つかっているものとは異なる新規の「TnMERI1」様トランスポゾンが発見された。この結果については現在確認実験と、データーのとりまとめをおこなっている。 3) 水銀耐性トランスポゾン「TnMERI1」上にコードされている異なるmerB遺伝子の有機水銀に対する特異性と分解能への関与について検討した。そのうちの一つであるmerB1遺伝子はメチル水銀をはじめとする多くの有機水銀の分解に関与していることがわかった。これら得られた結果の一部についてはJ.Biosci.Bioeng.誌に原著論文として発表した。
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Research Products
(2 results)