2010 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物におけるカルジオリピンの機能に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
20570031
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 元 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60167202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 直樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (80342856)
|
Keywords | カルジオリピン / 高等植物 / 脂質 / シロイヌナズナ / 生体膜 / 膜脂質 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本研究において申請者らは、シロイヌナズナのCL合成酵素遺伝子(CLS)が破壊されたタグラインを用いて、カルジオリピンの機能について解析した。本年度得られた研究成果は以下の通りである。 (1)2つの異なるタグライン(cls-1とcls-2)について、[^<33>P]Piを用いて長時間ラベルすることでCL量を測定した。その結果、タグラインでは全リン脂質中に占めるCLの割合が野生株に比べて低下していた。また、外来エストロゲンの投与によりCLSの発現を誘導できるようにした変異体では、根の伸長やミトコンドリアの形態異常がエストロゲンを与えることにより回復した。さらに、非誘導条件ではCLS活性が検出できなかったのに対し、誘導に伴い発現時間に対応してCLS活性が上昇することを確認した。以上の結果から、CLSが植物体におけるCL量を制御可能であり、CL量が一定量以下となることが様々な異常の原因であることを明らかとなった。 (2)CLを特異的に含む膜から構成されるミトコンドリアの形態に注目してCLの機能を解析した。CLSは胚や維管束、気孔孔辺細胞、主根のコルメラ細胞などの組織で高発現しているが、それらの組織では特殊な形態したミトコンドリアが高密度で観察される。野生株と変異株のそれらの組織においてYFPによりミトコンドリアを可視化して観察したところ、変異株では巨大化したミトコンドリアやくびれを持って長くなったミトコンドリアが多く観察された。電子顕微鏡でも、発達したクリステ様構造をもった巨大なミトコンドリアが確認された。これらの結果から、CLがミトコンドリアの形態維持に必要であることが明らかとなった。
|