2008 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリア概日時計再構成系を用いたアショフ法則の分子基盤解明
Project/Area Number |
20570035
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 Ritsumeikan University, 生命科学部, 准教授 (70444370)
|
Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 光 |
Research Abstract |
概日時計の周期長は「アショフの法則」に従い、光強度に伴って変化することが知られている。この法則は古くから全ての生物の概日時計にあてはまることが知られているが、その分子基盤はほとんど不明である。シアノバクテリアの3つのKaiタンパク質とATPによる概日時計の再構成系を活用することで、「アショフの法則」を検証し、その分子基盤を明らかにすることが初めて可能となった。本研究では、光という環境因子から概日リズム変化に至る細胞内の一連の情報伝達系を明らかにし、「アショフの法則」を成立させる分子メカニズムを描き出すことを目的としている。 光はシアノバクテリアのチラコイド膜の電子伝達系を駆動し、細胞内の酸化還元状態を変化させる。この酸化還元状態の変化は、何らかの分子機構で感知されていると推察される。LdpAの欠損変異株では光による周期長変化が認められなくなることから、LdpAは概日時計に対する酸化還元状態のセンサーの一つであると提唱されており、KaiCのATPase活性に影響を与えるタンパク質の有力な候補である。LdpAタンパク質の酸化還元状態が直接KaiCのATPase活性の変動をもたらす可能性をin vitro再構成系で検討するため、まずLdpAを大腸菌で大量発現させて嫌気条件下で安定的に精製することを試みた。 当初精製できたLdpAタンパク質は精製度が低く、その後の解析に不適であると判断し、精製方法を改良した。その結果、精製度の高いLdpAタンパク質を得ることができた。LdpAは、420nm付近に吸収ピークをもち、そのピークは還元状態において消失した。これは、LdpAタンパク質が鉄硫黄クラスターを持ち、細胞内の酸化還元状態を感知している可能性を示している。引き続きLdpAによるKaiCのATPase活性の変化を詳細に検討することで、「アショフの法則」を検証する予定である。
|