2009 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリア概日時計再構成系を用いたアショフ法則の分子基盤解明
Project/Area Number |
20570035
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 Ritsumeikan University, 生命科学部, 准教授 (70444370)
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 光 |
Research Abstract |
概日時計の周期長は「アショフの法則」に従い、光強度に伴って変化することが知られている。この法則は古くから全ての生物の概日時計にあてはまることが知られているが、その分子基盤はほとんど不明である。光はシアノバクテリアのチラコイド膜の電子伝達系を駆動し、細胞内の酸化還元状態を変化させる。この酸化還元状態の変化は、何らかの分子機構で感知されていると推察される。LdpAの欠損変異株では光による周期長変化が認められなくなることから、LdpAは概日時計に対する酸化還元状態のセンサーの一つであると提唱されており、KaiCのATPase活性に影響を与えるタンパク質の有力な候補である。LdpAタンパク質の酸化還元状態が直接KaiCのATPase活性の変動をもたらす可能性をin vitro再構成系で検討するため、LdpAを大腸菌で大量発現させて嫌気条件下で精製した。 解析に用いるのに十分精製度の高いLdpAタンパク質を得ることに成功した。吸収スペクトル測定によりLdpAは、420nm付近に吸収ピークをもち、そのピークは還元状態において消失することが明らかとなった。これは、LdpAタンパク質が鉄硫黄クラスターを持ち、細胞内の酸化還元状態を感知している可能性を示している。また、このタンパク質をシアノバクテリア生物時計再構成に加えて、KaiCのリン酸化状態の変化をモニターした。検討した条件下においては、KaiCのリン酸化状態の変化に顕著な変化は認められず、酸化還元状態を変化させた条件下において、LdpAをシアノバクテリア生物時計再構成に供する必要があると考えられた。また、シアノバクテリア生物時計再構成系において、緩衝液のpHの違いによって周期長が変化することを見出した。細胞内pHは光条件によって変動することが知られており、光強度による細胞内pHの変動が概日時計の周期長に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)