2010 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリア概日時計再構成系を用いたアショフ法則の分子基盤解明
Project/Area Number |
20570035
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (70444370)
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 光 |
Research Abstract |
概日時計の周期長は、光強度に伴って変化することが知られている。光はシアノバクテリアのチラコイド膜の電子伝達系を駆動し、細胞内の酸化還元状態を変化させる。この酸化還元状態の変化は、何らかの分子機構で感知されていると推察され、シアノバクテリアのLdpAの欠損変異株では光による周期長変化が認められなくなることから、LdpAは概日時計に対する酸化還元状態のセンサーの一つであると提唱されており、LdpAの酸化還元状態が概日時計にもたらす可能性を検討するため、LdpAを大腸菌で大量発現させて精製した。 LdpAタンパク質の多量体形成についてブルーネイティブ電気泳動法を用いて検討した。その結果、LdpAは2量体を形成していると考えられ、また酸化還元状態によってその分子量サイズに変動が見られた。このことから、LdpAは酸化還元状態によって構造変化していることが示唆された。前年度、LdpAタンパク質が鉄硫黄クラスターを持ち、細胞内の酸化還元状態を感知している可能性が見出されたが、この結果と考え合わせると、LdpAが酸化還元センサーであるという推察を指示する結果が得られたと考えられる 一方、シアノバクテリアのLdpA欠損株においては、先行研究において光に応答した周期長変化が消失するという形質が明らかになっていた。今回、LdpA欠損株が好気条件下では生育するが、低酸素条件下では生育に著しい阻害が生じることが見出された。現時点では、この形質がどのように概日時計の制御と関わっているのかについては不明な点が多いが、今後さらに低酸素条件下での概日時計の挙動等を調べることにより時計の周期長変化と酸化還元状態において新たな進展が明らかになると考えられる。
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Research Products
(4 results)