2008 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の細胞核の形作りとその機能を支える分子機構
Project/Area Number |
20570036
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 謙太郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (40378609)
|
Keywords | 細胞核 / シロイヌナズナ / GFP / プロテオミクス / 突然変異体 |
Research Abstract |
細胞核は構造と機能が密接に関わり合ったダイナミックなオルガネラである.高等植物を特徴づける細胞レベルでの分化能力は,細胞核の機能,すなわち遺伝情報の機能発現によるところが大きい.従って,細胞核の形成・構造維持の機構を明らかにすることは,植物の生き様を理解する上で非常に重要な基盤になる.本研究では遺伝学的手法とプロテオミスク解析を用いて,植物の細胞核の形作りと機能を決定する分子の同定を目的とする.植物が持つ分化全能性や,柔軟な環境応答能力の一端を「細胞核の機能」という面から明らかにしたい. 1.プロテオミクスによる細胞核の形成に必要なタンパク質の同定と解析 培養細胞から単離した高純度な核を用いたプロテオーム解析を行ない,約1500種類のタンパク質を同定した.この中から新規なタンパク質で,膜貫通領域をもつと予想されるもの,または細胞内骨格や構造分子として機能する考えられる領域(Coiled coil領域や細胞骨格結合領域)を持つタンパク質に関して,GFPを用いた細胞内局在解析を行った.その結果,新規な核タンパク質を多数同定することができた.今後は,これら分子の機能を明らかにする目的で,候補タンパク質をコードしている遺伝子欠損変異体の単離と解析を行う. 2.順遺伝学による核の形状が異常になった変異体の探索 核膜孔複合体にGFPを融合させたタンパク質を用いて,細胞核を可視化した形質転換シロイヌナズナを作成した.この形質転換体の種子をEMSで突然変異誘起処理し,細胞核の形状や細胞内配置に注目して変異体の探索を蛍光顕微鏡下で行なった.スクリーニングの結果,変異体を約10ライン単離することに成功した.今後,原因遺伝子の同定および,変異体の表現型をより詳細に解析することによって,植物の細胞核の形作りの分子基盤が明らかになるものと期待している.
|