2009 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の細胞核の形作りとその機能を支える分子機構
Project/Area Number |
20570036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 謙太郎 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (40378609)
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Keywords | 細胞核 / シロイヌナズナ / GFP / プロテオミクス / 突然変異体 |
Research Abstract |
今年度はプロテオミクスおよび遺伝学的手法で得られた新規核タンパク質の解析を行った. 1.プロテオミクスによる細胞核の形成に必要なタンパク質の同定と解析 高等植物の細胞核の形作りとその機能を理解するために,細胞核の構造に寄与するタンパク質を同定する.前年度までに,培養細胞から単離した高純度な核を用いたプロテオーム解析を行ない,約1500種類のタンパク質を同定した.GFPを用いた細胞内局在解析により,可溶性の新規核タンパク質を30種類同定した.膜貫通領域をもつ核膜タンパク質も2種類同定することができ,これらをNE1およびNE2と名前をつけた.これらタンパク質は高等植物にのみ保存された核膜タンパク質であった. 2.順遺伝学による核の形状が異常になった変異体の探索 順遺伝学の方法により核の形作りを担う分子の探索を行った.細胞核がGFPでラベルされた形質転換シロイヌナズナを突然変異誘起処理し,細胞核の形状や細胞内配置に注目した変異体の探索を行った.現在までに10系統の突然変異体を得ており,これらをkaku変異体と名付けた.kaku変異体の中には細胞核の形成異常に加えて,植物体の成長に影響が及んでいるものも見つかった. (A)細胞核が球状に変化するkaku変異体の原因遺伝子を同定したところ,核膜に局在する細胞骨格因子であった.核膜局在の細胞骨格因子はこれまでに報告がなく,核膜と細胞骨格とを結びつける重要な因子と考えられる. (B)細胞核が小型化するkaku変異体の原因遺伝子はLINC1であった.LINC1はcoiled-coilタンパク質で,細胞核の大きさの制御に関与していることが既に報告されている. (C)核相の倍加や減少が昂進しているkaku変異体もあった.これらは核内DNA量の増減によって細胞核の形状に異常がでたと考えられる.
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