2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570037
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 慎吾 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10192626)
|
Keywords | アクチン細胞骨格 / カルシウムイオン / カルモデュリン / 細胞膜ゴースト / シロイヌナズナ / ホウレンソウ / 葉緑体 / 葉緑体アンカー |
Research Abstract |
葉緑体は光合成を担うオルガネラであり、異なる環境条件下で細胞内の異なる場所に分布することにより、個葉および植物体全体における光合成の最適化に寄与する。その際、葉緑体は表層細胞質において積極的にアンカーされると考えられる。その仕組みについて解析するため、シロイヌナズナ葉肉細胞から細胞膜の細胞質側を露出させた細胞膜ゴーストを調製し、実験系を構築した。細胞膜ゴーストをアクチン脱重合剤もしくは1μMCa^<2+>で処理すると葉緑体の脱離が誘導されたが、細胞膜ゴーストをアクチン繊維安定化剤で前処理しておくと、これらの処理による葉緑体の脱離は阻害された。本研究のもうひとつの植物材料であるホウレンソウの場合と同じく、葉緑体アンカーがアクチン細胞骨格に依存し、Ca^<2+>の制御を受けることが強く示唆された。 一方、ホウレンソウ葉肉細胞に凍結置換法を適用し、間接蛍光抗体法によってアクチン細胞骨格を可視化した。弱光下に置いた細胞では、静止した各葉緑体を取り囲むような網目状のアクチン繊維の構築が観察されたが、青色強光照射もしくは高濃度Ca^<2+>と二価カチオノフォアによる処理により、網目状のアクチン繊維構築は消失し、直線状に走るアクチン繊維束が顕著となった。Ca^<2+>処理の効果は二価カチオノフォア非存在下では検出されなかった。また、青色強光照射およびCa^<2+>処理の効果は、カルモデュリン拮抗剤によって大きく抑制された。カルモデュリン拮抗剤は、青色強光によって誘導される葉緑体の細胞内分布変化を抑制した。昨年度の細胞膜ゴーストを用いた解析結果と合わせ、青色強光照射によって細胞質Ca^<2+>膿度が上昇し、カルモデュリンを介して網目状のアクチン繊維構築が消失し、葉緑体の脱アンカーがひき起こされることが強く示唆された。
|
Research Products
(14 results)