2010 Fiscal Year Annual Research Report
シダ植物固有の光受容体における分子内シグナルプロセシング機構の解明
Project/Area Number |
20570041
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鐘ヶ江 健 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (70264588)
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Keywords | ホウライシダ / 光受容体 / フィトクロム / フォトトロピン / 光屈性 |
Research Abstract |
本研究課題は、シダの弱光環境適応戦略の一つと考えられるシダ植物固有の光受容体PHY3の分子機能/動作機構の解明を目的とし、PHY3分子内シグナルプロセシング機構の解明を目指したものである。この研究により環境応答や植物進化の分野に新たな知見を与えることが期待さるとともに、新たな機能分子の分子設計などの応用面にも情報を提供することが期待される。 今年度は研究実施計画に従い、PHY3導入形質転換シロイヌナズナ系統の生理学的解析を行った。 PHY3のLOV1,LOV2両方のシステイン残基(Cys712,Cys966)をアラニン残基に置換した改変PHY3(単独の置換と2重置換:C712A,C966A,C712AC966A)、およびJ-alphaヘリックスの構造変換に関与するグルタミン残基(Gln1029)をリジン残基に置換した改変PHY3(Q1029L)を導入したシロイヌナズナ(phot1-5 phot2-1)において胚軸の光屈性反応を調べた。その結果、LOV1,LOV2の一方、あるいは両方のシステイン残基にアミノ酸置換を導入したPHY3形質転換体のいずれにおいても、赤色光・青色光依存の胚軸の光屈性が誘導された。光依存のキナーゼ活性化時に起こる構造変換に関与することが示されているLOV2のグルタミン残基を置換した場合も、赤色光・青色光による光屈性が誘導された。以上から、PHY3におけるキナーゼ部位の活性化にはLOV領域でのFMN-Cys結合形成は必須ではなく、高等植物フォトトロピンとは異なるPHY3独自の制御機構が存在することが示唆された。
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Research Products
(2 results)