2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570049
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 信次郎 独立行政法人理化学研究所, 促進制御研究チーム, チームリーダー (10332298)
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Keywords | 種子発芽 / シロイヌナズナ / フィトクロム / 植物ホルモン |
Research Abstract |
シロイヌナズナのbHLH型転写因子であるPHYTOCHROME INTERACTING FACTOR 3-LIKE5 (PIL5)は、種子発芽の光応答に重要な役割を果たす。前年度までに、PIL5によって制御される遺伝子群をトランスクリプトーム解析およびクロマチン免疫沈降法により同定し、CCCHタンパク質であるSOMNUS(SOM)がPIL5の直接の標的遺伝子であること、SOMはジベレリンやアブシジン酸の生合成・代謝関連遺伝子を制御に関わることを明らかにした。本年度は、PIL5の標的遺伝子として同定された遺伝子群、およびSOMの下流で働くと考えられる遺伝子の種子発芽における生理機能を明らかにするため、これらの遺伝子の逆遺伝学的解析を行なった。種子発芽時の光応答性が明確な遺伝子のうち、低分子基質の代謝酵素をコードすると予想される遺伝子に焦点を当て、挿入変異体の取得とその種子発芽能の検定を行なった。その結果、PIL5の標的遺伝子の一つである機能未知の酸化還元酵素遺伝子の挿入変異体において種子発芽能が低下していることを見出した。 シロイヌナズナの優性変異体gsd1-1はジベレリン欠損変異体であり、発芽能の低下と半矮性を示す。昨年度までの研究から、GA2oxによる水酸化以外の不活性化反応の上昇が、gsd1-1におけるジベレリン内生量の低下に寄与している可能性が示唆された。本年度はこの点をさらに追究するため、エポキシ化による不活性化を受けないと考えられるジベレリン類縁体(反応部位の二重結合が飽和したジベレリンおよび該当する構造を持たないフタルイミド型化合物)に対する応答性をジベレリン生合成変異体と比較した。その結果、gsd1-1における活性型ジベレリン内生量の低下には、エポキシ化による不活性化は関与しないことが示唆された。
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