2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸性土壌耐性必須転写因子STOP1が制御する遺伝子の特定
Project/Area Number |
20570052
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井内 聖 独立行政法人理化学研究所, 実験植物開発室, 専任研究員 (90312256)
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Keywords | STOP1 / 酸性土壌 / ジンク・フィンガータンパク質 / マイクロアレー |
Research Abstract |
近年、土壌が酸性化し作物の収量が低下している。土壌の酸性化は、植物が利用可能な様々なミネラルイオンの量を変化させ生育に悪影響を与えるマルチストレスである。これらの変化の中でアルミニウムイオン(Al3+)の増加がもっとも大きな生育阻害要因とされている。一方、土壌pHの低下も植物の成長を阻害することが知られていた。しかし、これまで分子レベルでの高等植物の低pHストレス応答についてほとんど知見が得られていなかったが、実施者らは低pHストレスおよびAl3+ストレス耐性の両方を制御している鍵遺伝子である酸性土壌耐性必須因子STOP1を同定した。本研究課題では、C2-H2タイプのジンク・フィンガータンパク質であるSTOP1によって制御される低pHストレスあるいはAl3+ストレス耐性に重要な因子の同定を行うことによって、酸性土壌耐性の分子機構の解明を行うことを目的に本研究課題を実施した。 2010(平成21)年度は、2009年度の研究を引き継ぎSTOP1によって制御される下流因子の同定を行うために、マイクロアレー解析からSTOP1変異体と野生株で遺伝子発現レベルの異なる転写制御因子遺伝子群を同定した。これら遺伝子の機能を解析するために、stop1変異体植物へ過剰発現するように導入した。作製した組み換え植物の、低pHストレス耐性を調べたところ、顕著なストレス耐性の相補が認められなかった。この結果から、STOP1が制御する低pHストレス応答は、一つの制御因子で伝達制御される単純なものではなくて複数の因子が関わる複雑な制御システムである考えられた。
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