2010 Fiscal Year Annual Research Report
有羊膜類の性分化における脳と生殖腺の相互関係の解析
Project/Area Number |
20570053
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴 民根 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00228694)
|
Keywords | 性決定 / 性分化 / 内分泌 / 外温性動物 / 爬虫類 / 有羊膜類動物 / 脳・神経 / 温度 |
Research Abstract |
ニワトリの間脳では生殖腺の性決定の時期より早い時期(孵卵4,5日)からSF-1の発現がみられ、そのの発現は間脳の発生とともに急激に拡大される。DAPIによる細胞核の分布とBrdU取り込みによる細胞増殖の分布を調べた結果、SF-1を発現する部位の拡大部位にはBrdU陽性細胞が極めて少なく殆どが上皮細胞層にあった。さらにBrdUの取り込み時間を変えることでBrdU陽性細胞の分布の変化を調べたが、細胞の移動を明確に示すことはできなかった。今後in vitroでの実験法を用いて解析する予定である。また、SF-1の発現をタンパク質として検出し細胞増殖との関連を解析するために鳥類SF-1特異的なモノクローナル抗体の作成も現在行っている。一方生殖線での研究で発見されたTex27の解析もさらに進め、この遺伝子からは2種類のmRNAが産生され、精巣のみならず卵巣でも発現することを明らかにした。また2種のmRNAには非常に特徴的な配列が3'-UTRに存在することも明らかにしその結果は現在投稿中である。また精巣特異的に発現し性決定と性分化に関わる遺伝子であるDMRT-1の全配列をトカゲとウズラで同定した。そしてウズラでは短日処理によるSF-1、Tex27、DMRT-1の発現変動を調べた。今後他の性決定・性分化関連遺伝子も加え解析を行う予定である。外温性有羊膜類の研究ではニホンヤモリでの研究を進め、研究に必要な遺伝子の同定を進める一方、解析に必要なサンプリングも定期的に進めている。また外温性動物の代謝機能の活性の指標となりうる因子としてインスリンとグルカーゴンの分子同定を行った。その結果、鳥類と爬虫類のグルカーゴンmRNA構造が他の脊椎動物とは異なり、トカゲでは特徴的なアミノ酸配列の変化が多いことも明らかにし、さらにその解析を進めている。
|