2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 明 Nagoya University, 理学研究科, 准教授 (60183109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 克将 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10372525)
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Keywords | 昆虫 / インスリン様成長因子(IGF) / 成長 / カイコ / ショウジョバエ / 変態 / 脂肪体 / エクジステロイド |
Research Abstract |
インスリン様成長因子(IGF)はヒトの成長を調節する重要なホルモンである。本研究の目的は、無脊椎動物で初めて発見されたIGF様ペプチドであるカイコの8K-BLPの生理機能を解明し、さらにIGF様ペプチドの昆虫での普遍的機能を明らかにすることである。昨年度までの研究により、8K-BLPが変態期の組織の成長に関わることが強く示唆されたが、生体内での成長促進機能を結論づけるには遺伝学的証明が必要である。そこで本年度は、分子遺伝子学的解析が容易なショウジョウバエを材料として研究を進め、以下の成果を得た。 1.8K-BLPと機能的に相同と考えられるDILP6の遺伝子発現解析を行い、8K-BLP遺伝子同様に変態期特異的に主に脂肪体で発現することを明らかにした。 2.DILP6遺伝子発現がエクジステロイドにより誘導されることを、脂肪体の培養実験およびエクジソン受容体遺伝子の脂肪体特異的ノックアウト・ノックダウン実験により証明した。 3.DILP6遺伝子欠損突然変異系統を作製して表現型を解析し、突然変異系統の成虫では体サイズが減少し、また翅の面積の減少は細胞数の減少に起因することを示した。また、体重の変化は幼虫が摂食を停止した後、すなわち変態期に表れることを明らかにした。 4.突然変異系統において変態期特異的かつ脂肪体特異的にDILP6を強制発現させると、体重低下の表現型がレスキューされることを示した。 以上の結果より、昆虫のIGF様ペプチドはカイコ以外の昆虫に存在すること、変態期の成長を調節する機能を持つことが証明された。
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Research Products
(4 results)