2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックカエルを用いた消化管上皮幹細胞のニッチに関する研究
Project/Area Number |
20570060
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岡 敦子 Nippon Medical School, 医学部, 教授 (50175254)
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Keywords | トランスジェニックカエル / 小腸 / 幹細胞 / 上皮再生 / 甲状腺ホルモン受容体 / 変態 / ニッチ / 器官培養 |
Research Abstract |
本研究は、トランスジェニックアフリカツメガエルを実験動物として用い、消化管上皮の幹細胞を制御するニッチ(結合組織を中心とした微小環境)の分子レベルでの解明を目指している。 本年度はまず、幹細胞出現から成体型上皮形成に至る一連の過程が、甲状腺ホルモン受容体(TR)遺伝子の発現のみによってin vitroで誘起されることを実証するため、熱ショック蛋白質プロモーターの下流にdominant positive型甲状腺ホルモン受容体遺伝子を導入したカエル(dpTRカエル)の小腸を使って器官培養を行った。dpTRカエルに挿入したエピトープタグであるFlagを免疫組織化学的に検出することにより、dpTRを効率よく発現させる培養条件を見出した。さらに、その条件下では、甲状腺ホルモンを培養液に加えなくても加えた場合とほぼ同様に、幼生型上皮の消失(アポトーシス)および成体型上皮の形成過程が進行することを明らかにした。このことは、組織依存的にdpTR遺伝子を発現させることにより、幹細胞からの成体型上皮形成過程に及ぼす結合組織の作用を解明できることを示している。そこで、dpTRカエルと野生型カエルの小腸を用いた上皮・結合組織再結合培養実験に着手した。現在、dpTR遺伝子を上皮・結合組織ともに発現する小腸、上皮または結合組織のみで発現する小腸、両組織ともに発現しない小腸、の4種類において幹細胞の有無、成体型上皮の増殖・分化の程度を免疫組織化学的手法により解析中である。この他に本年度は、幹細胞で強発現することが知られているShhのインヒビター、Hipが、幹細胞出現時に甲状腺ホルモンに応答して結合組織特異的に一過性に発現することも明らかにした。このことは、Hipがニッチを構成する因子の1つであることを示唆している。
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Research Products
(7 results)