2010 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックカエルを用いた消化管上皮幹細胞のニッチに関する研究
Project/Area Number |
20570060
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岡 敦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (50175254)
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Keywords | トランスジェニックカエル / 甲状腺ホルモン受容体 / 小腸 / 器官培養 / 組織間相互作用 / 幹細胞 / 変態 / 脱分化 |
Research Abstract |
本研究は、変態期のアフリカツメガエル小腸を実験材料とし、上皮幹細胞を制御するニッチの分子レベルでの解明を目指している。本年度は、昨年度に引き続きdominant positive型甲状腺ホルモン(TH)受容体遺伝子を導入したトランスジェニックカエルを用い、組織再結合培養実験の免疫組織化学的解析を進めた。幼生型上皮が幹細胞へと脱分化し、その幹細胞から成体型上皮が形成されていく過程は、Shhなどの上皮特異的に発現するTH応答遺伝子だけでは部分的にしか進行せず、結合組織で発現するTH応答遺伝子も必要であることを、複数の幹細胞マーカーを用いて実証し論文にまとめた。このことは、幹細胞ニッチが両組織の相互作用によって形成されることを意味している。 そこで、幹細胞ニッチの形成に関わる遺伝子を明らかにしていくために、これまでにツメガエル小腸で同定されている一連のTH応答遺伝子の発現解析に着手した。RT-PCR、in situ hybridizationおよび免疫組織化学的手法を用い、各遺伝子の発現パターンと上皮再構築との関連をin vivoおよびin vitroで解析中であるが、現在までに、(1)Wnt5a、Frizzled、CD44などのWntシグナル伝達経路に関わる遺伝子の発現が、活発に増殖中の幹細胞およびその周辺の繊維芽細胞に限って一過性に上昇すること、(2)幼生型上皮の核で発現するラミンのタイプが、幹細胞への脱分化に伴って変化すること、などの知見を得ている。また、哺乳類小腸上皮の幹細胞マーカーとして知られているLGR5が、ツメガエルの小腸上皮でも幹細胞特異的に発現することを見出した。このことは、本実験材料が哺乳類共通のニッチ解明のために有用なモデルとなりうることを示唆している。
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Research Products
(6 results)