2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド作動性ナトリウムチャネルの機能発現に関わる分子機構に関する研究
Project/Area Number |
20570071
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古川 康雄 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40209169)
|
Keywords | イオンチャネル / ペプチド / 構造機能相関 |
Research Abstract |
本研究課題では、動物の神経系に存在する最も多種多様な情報伝達分子であるペプチドによる神経情報伝達を分子レベルで理解するための研究の一環として、ペプチド作動性ナトリウムチャネルである FMRF amide作動性Na+チャネルの機能発現に関わる分子機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、主に、以下の2点に関する研究を進めた。 (1)FMRF amide作動性Na+チャネルに対する二価イオン作用の定量的解析 カットオープンオオーサイト法により、FMRF amide作動性Na+チャネル電流を解析し、それにおよぼすCa2+の作用を検討した。その結果、FMRF amide作動性Na+チャネル電流は電位依存性を示し、過分極側でより大きな電流が流れることが明らかになった。また、膜電位を過分極側にジャンプさせたときに見られる緩和過程は、細胞外のCa2+濃度に依存してその速度や大きさが変化することが明らかになった。 (2)チャネルポア外縁部の変異体チャネル作成と機能解析 先行研究により、FMRF amide作動性Na+チャネルの552位のアスパラギン酸がチャネルに対する二価イオン作用に関わっていることを示唆する結果を得ていたので、この部位の点変異体を複数種類作成し、変異体チャネルの機能を電気生理学的手法で解析した。その結果、この部位のアミノ酸残基の側鎖の物理化学的性質により、チャネルの活性化、脱感作、FMRF amide感受性が変化することが明らかになった。 以上の研究成果については、2008年の日本動物学会、北米神経科学会にて発表した。
|