2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570074
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
志賀 向子 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90254383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 英治 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70172749)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70347483)
|
Keywords | 神経分泌 / 休眠 / エクジステロイド / 昆虫 |
Research Abstract |
ルリキンバエは、長日・高温条件で生殖を行い、短日・低温条件では卵巣発達を停止した休眠に入る。休眠の神経内分泌機構を探るため、本年度は、神経分泌細胞が存在する脳間部に注目して実験を行い以下の結果を得た。 1. 卵黄タンパク質遺伝子の発現における脳間部の役割:非休眠条件のハエの脳間部を除去し、ノーザンハイブリダイゼーションを行った結果、脂肪体と卵巣の卵黄タンパク質遺伝子の発現が対照群に比べて有意に低下した。 2. エクジステロイド量における脳間部の役割:非休眠条件のハエの脳間部を除去し、血リンパおよび卵巣のエクジステロイド量をラジオイムノアッセイ法によって測定した結果、これらのエクジステロイド量に有意な変化は見られなかった。 3. 脳間部除去個体への非休眠あるいは休眠脳間部の移植の効果:非休眠条件で脳間部を除去すると卵巣が発達しない。非休眠条件で脳間部を除去した個体に非休眠あるいは休眠個体から脳間部組織を移植し、卵巣発達が回復するか調べた。その結果、非休眠脳間部の移植個体で卵巣が発達したが、休眠脳間部の移植個体では卵巣が発達しなかった。 4. 脳間部除去個体への牛インスリン投与の影響:非休眠条件で脳間部を除去した個体に牛インスリンを投与すると、約20%の個体で卵巣発達が見られた。 1,2より、非休眠条件の脳間部から何らかの物質が分泌され、エクジステロイド合成とは別の経路で卵黄タンパク質遺伝子の発現を引き起こすこと、3より休眠条件ではこの物質が生産あるいは分泌されないために卵巣が発達しないと考えられた。また、4より脳間部から分泌される物質としてインスリン様ペプチドの可能性が考えられた。
|
Research Products
(8 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
Goto, S.G.
-
Journal Title
Photoperiodism in insects : perception of light and the role of clock genes. In : Photoperiodism : Seasonal Time Measurement. (Nelson, R.J., Denlinger, D.L. and Somers, D.(eds.))(Oxford University Press.)
Pages: 258-286
-
-
-