2008 Fiscal Year Annual Research Report
有孔虫と共生する紅藻の共生維持機構の解明とその進化学的意義
Project/Area Number |
20570081
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 亜紀子 Yamagata University, 大学院・理工学研究科, 研究員 (30466601)
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Keywords | 有孔虫 / 紅藻 / 共生 / 系統 / 分類 |
Research Abstract |
平成20年度は, 有孔虫に共生する紅藻の系統的位置の確認と, 地域間での遺伝的多様性の把握を目指した。さらに共生藻と宿主の共進化の有無や, 有孔虫の同定を容易にする目的で, 宿主有孔虫の分子同定法の確立にも着手した。共生紅藻を保有する有孔虫は, 地中海, 紅海および日本沿岸地域から採集した。有孔虫の殻を実体顕微鏡下で撮影し, 形態による同定を行った後に, 殻を破砕して共生する紅藻を単藻分離し, 培養株の作出を行った。これらの培養株は, 18SrRNA遺伝子のユニバーサルプライマーを用いてPCR増幅後, 塩基配列を決定して非共生紅藻の培養株の配列とともに系統解析を行った。その結果,形態学的にPorphyridium purpureumと同定される培養株はすべて単系統となったが, 内部には3亜系統群が識別でき, その1亜系統群のみに共生藻が含まれることが判った。この亜系統群には土壌産株は含まれず, フィコシアニンの吸収波長特性も他の2亜系統群とは異なることも明らかとなり, 共生藻は新規分類群として認識すべきであるとの結論を得た。一方, 共生藻培養株を確立した宿主個体から塩基配列情報を得るために, 破砕した殻の残りの部分から宿主DNAを抽出し, 対象有孔虫に特異的な18S rDNAプライマーを用いてPCR増幅することを試みた。その結果, 有孔虫1個体からDNAを抽出し, その18S rDNAの部分配列を決定することに成功した。
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