2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570082
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 剛 筑波大学, 生命環境系, 講師 (40302369)
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Keywords | 分類体系 / 系統 / 進化 / クリプト藻 |
Research Abstract |
クリプト藻綱プラギオセルミス系統群(Plagioselmis、Teleaulax、Geminigera)は、本邦沿岸を含め世界中に海洋プランクトンとして極めて普遍的に存在しており、ときに大増殖するのみならず、赤潮形成繊毛虫Myrionectaおよび有毒渦鞭毛藻Dinophysisに取り込まれてその盗葉緑体となることが明らかとなっており、生態学、水産学および進化生物学的に極めて重要な生物群である。しかし分類学的な研究はほとんど皆無であることから、本研究ではプラギオセルミス系統群の系統分類学的研究を行った。 いくつかの海水サンプルを採集し、粗培養を行った。ここからプラギオセルミス系統群と思われるクリプト藻を単離し、培養株を得た。またこの過程で他のクリプト藻(特にChroomonas)等の株も確立した。これまでの株と併せていくつかについて透過型電子顕微鏡による超薄切片およびペリプラスト観察用のホールマウント試料を作成し、微細構造観察を行った。またDNA抽出を行い、18S rDNAおよびITS塩基配列を決定し、系棟解析を行った。その結果、ほぼ同じ遺伝子型のPlagioselmis(仮にP. prorongaとする)が日本中に広く分布していることが判明した。またこの一部の株は大形の細胞相(Teleailaxに相当)と小形の細胞相をもつことが判明したが、その間の転換の要因についてはいまだ明らかではない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養株の収集、微細構造観察、分子系統解析等は計画通り進捗中。ただし盗葉緑体との関連や細胞相の転換がいまだ未解決。
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Strategy for Future Research Activity |
同一株内での細胞相の転換について培養条件との関連の検討、および別の株との混合(有性生殖を想定)を行う。またさらに分子系統解析を進め、分類学的検討を行う。
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