2010 Fiscal Year Annual Research Report
トケイソウ亜目における種皮の解剖学とその進化の解明
Project/Area Number |
20570086
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
徳岡 徹 静岡大学, 理学部, 准教授 (90303792)
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Keywords | トケイソウ亜目 / 系統 / 分類 / 種皮 / 形質進化 / スミレ科 / トケイソウ科 / 解剖学 |
Research Abstract |
本年度はスミレ科の種皮の解剖学的研究をまとめた。ミズーリ植物園などの標本庫から収集したスミレ科の種子を材料に用いた。スミレ科に含まれる18属52種を研究に用いた。主に観察したのは、種皮に機械的強度を与える主要な層である内種皮外層と種衣の有無、維管束の有無である。観察の結果、スミレ科内には内種皮外層の構造に4つのタイプがあることが分かった(繊維型、リボン型、多層型、星型)。種衣に関しては種衣を持つもの、翼を持つもの、種衣を形成しないものの3つのタイプがあった。維管束はGloeospermum属とDecorsella属のみに見られた。これらの観察結果を既に明らかになっている科内の属間系統樹に配置すると、以下のことが分かった。(1)内種皮外層の構造は繊維型が原始形質であり、次に多層型が派生し、その後リボン型と星形へと派生したと考えられた。(2)種衣の有無に関しては、種衣の無いものが原始形質であり、種衣を持つものと翼を持つものが派生形質であることが分かった。以上の結果をまとめて学術雑誌(Botanical Journal of Linnean Society>へ投稿した。 一方、スミレ科と姉妹群の関係にあるトケイソウ科の種皮の解剖学的研究も継続して行った。トケイソウ科32属のうち24属の種皮に関して観察を行った。その結果、トケイソウ科もスミレ科と同様に内種皮外層が繊維型のものが原始形質である可能性が示唆された。
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