2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNAバーコーディングを利用したウンカ・ヨコバイ類の分子分類
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20570088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
紙谷 聡志 Kyushu University, 農学研究院, 准教授 (80274520)
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Keywords | 分子分類 / COI / ウンカ / ヨコバイ / DNAバーコーディング / 同定 |
Research Abstract |
DNAバーコーディングとは、生物の種などの分類群を簡易に同定することや、分類学や進化系統学的な研究を補完することなどを目的として、規定されたDNA塩基配列のごく一部を種の標徴的な"バイオマーカー"として利用しようとするものである。この手法では、すべての動物に対して、ユニバーサル・プライマーを用い、規定したDNA塩基配列を対象として解析をするために、すべての動物に対して同じ手法で情報を得ることができるという大きな利点があるものの、昆虫のように多様な分類群においては、既存の分類体系との整合性等、事前に同定が可能か否かを検証しておく必要がある。そこで、本課題では、ウンカ・ヨコバイ類のバーコードを登録する前に、ユニバーサル・プライマーへの有効性の評価ならびに、モデルケースとして、ヨコバイの1種であるクワキヨコバイ属の分類体系とDNAバーコードとの整合性を検証した。 ユニバーサル・プライマーを用いてバーコード領域をPCR増幅させた場合、ヨコバイ類では、次の3つのような結果が得られた:領域のみが増幅する場合、非特異的領域も併せて増幅してしまう場合、増幅しない場合。増幅しなかったサンプルの割合は21%であったが、残りの増幅したサンプルの中でアライメントが良好に行えたのは37%しか得られなかった。このことから、今後、ユニバーサル・プライマーの改良が必要であることが示唆された。 次に、アライメントを行ったサンプルについて、クワキヨコバイ属の分類体系とDNAバーコードとの整合性を検証した結果、属レベル、種群レベルならびに種レベルでも高い整合性がみられ、DNAバーコードを用いた同定が可能であると考えられた。
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Research Products
(6 results)