2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAバーコーディングを利用したウンカ・ヨコバイ類の分子分類
Project/Area Number |
20570088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
紙谷 聡志 九州大学, 農学研究院, 准教授 (80274520)
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Keywords | 分子分類 / 分類学 / 昆虫 / DNAバーコーディング / COI |
Research Abstract |
DNAバーコーディングとは、生物の種などの分類群を簡易に同定することや、分類学や進化系統学的な研究を補完することなどを目的として、規定されたDNA塩基配列のごく一部を種の標徴的な"バイオマーカー"として利用しようとするものである。この手法では、すべての動物に対して、ユニバーサル・プライマーを用い、規定したDNA塩基配列を対象として解析をするために、すべての動物に対して同じ手法で情報を得ることができるという大きな利点があるものの、昆虫のように多様な分類群においては、既存の分類体系との整合性等、事前に同定が可能か否かを検証しておく必要がある。そこで、本課題では、ウンカ・ヨコバイ類のバーコードを登録する前に、ユニバーサル・プライマーへの有効性の評価ならびに、モデルケースとして、ヨコバイの1種であるクワキヨコバイ属の分類体系とDNAバーコードとの整合性を検証した。その結果、オカダクワキヨコバイとその近縁種(新種を含む)においては、形態を用いた分類はDNAバーコーディングを用いて同定が可能であった。しかし、DNAバーコードであるCOIの部分領域を用いた分子系統樹と形態分類体系は一致しない部分が見いだされた。このことから、DNAバーコードの副産物として既存の分類体系を見直すよいきっかけとなる可能性が示唆された。.一方、cotの部分領域は母性遺伝をするミトコンドリアでしかも短い配列であるので、高い信頼度の系統樹を作成できていない可能性も考えられる。このため、形態分類体系と分子系統が一致しない場合には、さらなる考察が必要であることがあらためて示されたこととなった。
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Research Products
(11 results)