2008 Fiscal Year Annual Research Report
脆弱単細胞性海洋プランクトンの生物相と個体群動態の把握
Project/Area Number |
20570089
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鈴木 利一 Nagasaki University, 水産学部, 教授 (20284713)
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Keywords | プランクトン / 生物相 |
Research Abstract |
長崎港および時津港において2週間に1度の頻度で1年を通して海水試料の採集を行った。本年は、極めて脆弱な構造を持ち、未記載種が数多く存在する無殻少毛類繊毛虫プランクトンの出現特性に注目した。種レベルでの分類、できる限りの同定、現存量の把握、環境特性との対応について調査した。 この群集の総個体数密度は、10^3〜10^4cells/L程度で推移し、群集の出現数には季節性が見られかった。しかし、各種の出現パターンは多様であり、限られた時期にのみ出現する種、季節性を示さない種、一年を通して頻繁に出現する種が見られた。また、多くの種(例えば、Strombidium dalum, S. veniliae, S. epidemum, Strombinoposis cheshiri等)が広水温・狭塩分性を示した。多くの種は、水温よりも塩分の変動に出現が左右されていることが明らかとなり、個体群変動の重要なファクターであると考えられた。 この調査と同時に行った各個体の生体観察より、遊泳行動の特徴や栄養動態により、固定や染色を施すことなく、生きたまま種や属のレベルで分類することができる(従来は極めて困難であると考えられていた)可能性も示唆された。Cyrtostrombidium, Tontonia, Strobilidium, Strombidinopsisの4つの属は識別が比較的容易で、StrobilidiumやTontonia属では、さらにいくつかの種(例えば、Strobilidium sp. AR, Strobilidium sp. AS, S. veniliae, T. cornuta, T. poopsia, T. simplicidens)が同定でき、分類形質において行動パターンは重要であると考えられた。
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