2009 Fiscal Year Annual Research Report
藻類共生性群体ホヤにおける共生様式の多様性と種分類の再検討
Project/Area Number |
20570092
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
広瀬 裕一 University of the Ryukyus, 理学部, 教授 (30241772)
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Keywords | ジデムニ科ホヤ / Diplosoma属 / 光共生 / プロクロロン / 種分類 / 分子系統 / COI遺伝子 / DNA-barcoding |
Research Abstract |
本年度は、未記載種の問題を解決するため、性的に成熟した標本を得る目的で、久米島で採集調査を行ったがまだ充分な試料は得られていない。また、藻類共生性ホヤの分布北限を調査する予定であったが実施できなかった。一方、中央研究院の協力を得て、台湾において藻類共生性ホヤの分布調査をはじめて実施し、この成果については既に論文印刷中の段階である。昨年度、チャツボボヤのmorphotypeが既に種分化を経ていると考えられることをCOI遺伝子の部分塩基配列に基づく解析から明らかにしているが、台湾の調査でもチャツボボヤの試料を採集することができたので、台湾産の試料を加えた系統解析を新たに進めている。遺伝的にも区別される新たなmorphotypeが確認できる見込みである。 チャツボボヤのmorphotypeのように近縁種間で種を区別するために有用な分類形質の検討を進めている。これまでのところ、骨片形態と鰓孔数に注目し、分子情報による系統解析と対照しながら検討有効性を評価しているが、現時点の結果では、骨片については近縁種間の区別に必ずしも有効では無いケースがあることがわかった。これについては既に論文印刷中の段階である。鰓孔数は、Diplosoma属では分類形質として有効であることが既にわかっているので、他属についても検討を進めている。 共生藻の世代間伝播については、被嚢内で細胞内共生が認められるLissoclinum punctatumの幼生や胚の採取に成功し、胚発生過程と共に形態記載を行った。本種の垂直伝播様式は、チャツボボヤやシトネボヤの様式と同様で、親群体の共同出水腔内部の共生藻を、幼生の胴部後半に付着させている。世代間伝播時に細胞内共生の状態で胚・幼生へ移行するものは認められなかった。
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Research Products
(8 results)