2010 Fiscal Year Annual Research Report
藻類共生性群体ホヤにおける共生様式の多様性と種分類の再検討
Project/Area Number |
20570092
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
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Keywords | ジデムニ科ホヤ / Diplosoma属 / 光共生 / プロクロロン / 種分類 / 分子系統 / COI遺伝子 / DNA-barcoding |
Research Abstract |
本年度は、久米島で確認されている未記載種の問題を解決するため、性的に成熟した標本を採集することに成功し、本種の新種記載を行った。本種は個虫それぞれが独立した出水口をもつ点で、ジデムニ科ホヤとしては究めて特異であるが、精巣の構造からLissaclinum属と同定され、分子系統解析もこの見解を支持している。現在、記載論文は論文印刷中の段階である。 すでにチャツボボヤの4タイプのmorphotypeが既に種分化を経ていると考えられることをCOI遺伝子の部分塩基配列に基づく解析から明らかにしているが、昨年度に中央研究員の協力を得て行った藻類共生性ホヤの台湾における分布調査においてもチャツボボヤの試料を採集することができた。台湾産のものは2タイプ得られており、一つは沖縄でlarge-typeと呼ばれるものに外部形態が似ており、他方は他のタイプと較べてかなり小さい群体を作るものである(これをsmall-typeと呼ぶ)。これらの試料を加えた系統解析を新たに行ったところ、台湾のlarge-typeは沖縄のlarge-typeと同じグレードに含まれるが、smamll-typeは既知のどのタイプにも含まれなかった。これを形態からも遺伝的にも区別される第5のタイプとした。本研究成果は既にZoological Science誌において発表した。 近縁種間で種を区別するために有用な分類形質の検討を進めており、今年度は鯉孔数に注目して分類形質としての有効性の評価を行った。すでに鯉孔数がDiplosoma属の分類形質として有効であることを明らかにしているが、他属では必ずしも有効ではないことがわかった。 共生藻の世代間伝播については、被嚢内に藍藻を共生させるTrididemnum属2種について、形態学的解析を進めている。両種とも、胚発生の過程で藍藻を獲得するが、その様式は種間で少し異なることが明らかとなっている。
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Research Products
(4 results)