2010 Fiscal Year Annual Research Report
双子葉植物から単子葉植物への進化の道すじの推定-単子葉植物の起源を探る第一段階-
Project/Area Number |
20570095
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田村 実 京都大学, 理学研究科, 教授 (20227292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 純 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (20432627)
布施 静香 兵庫県立人と自然の博物館, 自然環境評価研究部, 主任研究員 (30344386)
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Keywords | 原始的被子植物 / 単子葉植物 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
双子葉植物から単子葉植物への進化の道すじを推定するために、単子葉植物の姉妹群候補となる原始的被子植物を中心に選んだ21種の双子葉植物(アンボレラ目1種、スイレン目2種、アウストロバイレヤ目2種、センリョウ目1種、モクレン目3種、クスノキ目3種、コショウ目3種、真正双子葉類6種)と、単子葉植物全11目の各目から少なくとも1種を選び、それらにいくつかの原始的単子葉植物を加えた合計21種の単子葉植物との分子系統解析を試みた。 今回解析した遺伝子とそれらの塩基配列のアラインメント後の長さは、葉緑体のndhF(2102bp)、matK(1852bp)、atpB(1480bp)、rbcL(1372bp)、rp12(1212bp)、rps4(610bp)、rpoC1(487bp)、rpoB(409bp)、ミトコンドリアのmatR(3008bp)、cox1(2050bp)、atp1(1186bp)、atpA(1141bp)、nad5(1095bp)、cob(938bp)、cox3(759bp)、核の18SrDNA(1696bp)で、合計21397bpであった。 このデータに基づいて、最節約法で分子系統樹を構築すると、ブートストラップ値は50%以下と低いながらも、コショウ目が単子葉植物の姉妹群になった。コショウ目には、3数性の花や単子葉植物型の師管色素体など単子葉植物と共通した形態的特徴をもつ植物も多い。しかし、今回のデータを最尤法で解析すると、単子葉植物の姉妹群はコショウ目+モクレン目+クスノキ目のクレードになる。また近年、単子葉植物の姉妹群は真正双子葉類という報告もある。今後、さらに長い塩基配列を解析して、今回の結果を再検討する必要がある。
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