2009 Fiscal Year Annual Research Report
倍数化により重複した酵素遺伝子群は倍数体の適応的種分化を促進したか
Project/Area Number |
20570096
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西野 貴子 Osaka Prefecture University, 大学院・理学系研究科, 助教 (20264822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 祐一郎 大阪府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (50322368)
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Keywords | 適応 / 種分化 / 倍数性 / 遺伝子重複 / 環境ストレス / キク科 / 分子進化 / アルコール脱水素酵素 |
Research Abstract |
植物では倍数性が多くみられ、ゲノムの倍加にともなってそれぞれの遺伝子すべてが重複することになる。これまで遺伝子重複の分子進化の研究は多くあり、筆者も二倍体における遺伝子重複の適応的分子進化について取り組んできた。一方、本研究では、倍数化によって遺伝子群すべてが重複するというところに着目している点が大きな特色であり、特に乾燥や寒冷といったストレスがかかったときに発現するアルコール脱水素酵素をはじめとする一次代謝の酵素の重複した一群の分子進化が、祖先的な二倍体における進化速度と比較して適応的かどうかを明らかにしようとするものである。 材料には倍数性が顕著であり、最近に進化したキク科の二倍体と倍数体では成育環境の異なる分類群を用いた。 初年度には二倍体の推定祖先種と派生した倍数体において、幾つかの酵素の発現についてスクリーニングを行った。その結果、複数の酵素においてアイソザイムが見つかり、誘導条件により発現が変化した。また、酵素が発現される環境ストレスの条件を探索し、実験条件を決定した。これらの結果から候補遺伝子を選び、本年度はその候補遺伝子の幾つかについて、環境ストレス条件を変えて発現誘導を行い、サブクローニングの後、塩基配列の決定を行った。一連の代謝にかかわる酵素群で得られた複数の塩基配列について、構造遺伝子部分、発現調節部分にわけて解析をおこない、分子進化速度を推定し、推定祖先の二倍体種と倍数体で比較を行った。
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