2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア産Mesopodopsis属アミ類の分類と生物地理の再検討
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20570101
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
花村 幸生 Japan International Research Center for Agricultural Sciences, 水産領域, 主任研究員 (50371951)
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Keywords | 分類学 / 生物多様性 / 甲殻類 / Mesopodopsis |
Research Abstract |
小型甲殻類の一群であるMesopodopsis属アミ類は生物量がきわめて多く、沿岸生態系の鍵種であるのみならず、地域的には漁業利用が計られ、また各種生物試験の標準生物として利用されている。アジアには2種が生息すると認識されてきたが、なかでもM.orientalisはアジアのアミ類の中でも最重要と位置づけられてきた。本種には生活史特性に違いのある2型の存在が我々の先行研究から明らかになっていた。 1.先の知見を踏まえ、アジアのいくつかの地域から採集した当該種の形態を精査し、併せて代表個体群の遺伝子の解析を行った結果、系統的に異なる2群が存在することが明らかになった。 2.所在が不明であった基準標本の保管機関を突き止め、名義種の形態を再検討した結果に基づき、上記2系統群のうち大卵少産型の個体群を新種と認定した。また、東南アジアでは名義種が海域、新種が汽水域を主な生息場としていることが判明した。 3.さらに、遺伝子解析の結果は、両系統群ともに地理的スケールの中で大きな遺伝的多様性を内包している実態が浮かび上がってきた。今後、東南アジアの海生生物の成立過程及びその要因することが重要となる。 4.既知種M.zeylancaについても、地理分布を再検討する必要性が示唆された。 5.また、上記研究の付随的成果としてインドの汽水域から初めて報告されたIndomysisをほぼ90年ぶりにマレーシアの汽水から再発見し、詳細な形態データを提示すると共に生息環境の特性について明らかにした。
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Research Products
(4 results)