2010 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体カルシウムポンプのリン酸化中間体の異性化とカルシウム輸送の連関
Project/Area Number |
20570102
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90207267)
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Keywords | 小胞体 / カルシウムポンプ / Ca^<2+>-ATPase / イオン輸送 / 酵素反応速度論 / 部位特異的変異 / P-tvpe ATPase / 中間体構造アナログ |
Research Abstract |
小胞体Ca^<2+>-ATPaseはリン酸化中間体(EP)の形成と分解を経てCa^<2+>を輸送する。小胞体内腔へのCa^<2+>放出は、膜ドメインの輸送部位にCa^<2+>を閉塞したCa_2E1PからCa^<2+>非結合型のE2Pへの異性化過程でおこる。このとき、細胞質の3ドメイン(A,R,N)のうちAドメインが大きく回転してP-Nドメインと結合し、この変化が膜ドメインに伝わる。筆者は最近、Aドメインと膜貫通ヘリックスM1を結ぶリンカー(Glu^<40>-Ser^<48>)の長さが適切であることが、EPの転換から分解までの各過程に重要であることを示した。特に、Gly挿入でそのリンカーを伸長した変異体ではCa^<2+>放出がブロックされることを示した。これより上記2種のEP中間体の間に、Ca^<2+>を閉塞したCa_2E2Pが存在することを実証、単離することに成功した。今回、1.Ca_2E2Pの結晶構造などの解析を目的として、そのGly挿入変異体にリン酸アナログのBe/Fを結合させ、安定なCa_2E2Pアナログ(Ca_2E2・BeF_<3->)を開発することに成功した。2.K^+非存在下では、E1P-E2P転換に際し、ADP感受性の喪失とCa^<2+>放出が独立に起こりうることを示した。これよりPドメインへのK^+結合の生理的意義を明らかにした。3.P-Nヒンジ領域に存在するアミノ酸側鎖の役割を変異導入により調べ、電荷間相互作用がE1P-E2P転換に重要な役割を持つことを示した。4.Ca^<2+>輸送サイクル各段階において、Aドメインと膜貫通ヘリックスM2を結ぶA/M2-リンカー、およびM2の果たす機能的役割を部位特異的変異導入により調べた。これよりA/M2-リンカーの長さが適切であること、またM2各部の構造が部位特異的に異なる機能を持ち、Ca^<2+>輸送、E2Pの加水分解、Ca^<2+>による非リン酸化酵素の活性化などに重要であることを示した。
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Research Products
(7 results)