2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570103
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
殿塚 隆史 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (50285194)
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Keywords | 糖タンパク質糖鎖 / グルコシダーゼ / X線結晶構造解析 / 大腸菌 / 黒麹菌 |
Research Abstract |
ヒトをはじめとする真核生物のタンパク質には糖鎖が存在する。糖鎖の付加は真核生物に特徴的な生命現象であり、病原菌の感染、癌の発生や転移などさまざまな生命活動に関与し、重要な役割を担っている。本研究は、N結合型糖鎖プロセシングの初発段階に作用するプロセシングα-グルコシダーゼIおよび関連酵素に着目し、黒麹菌Aspergillus niger ATCC9642のプロセシングα-グルコシダーゼI(AnPGaseI)および大腸菌よりプロセシングα-グルコシダーゼIと一次構造上相同性を有するα-グルコシダーゼ(YgjK)を材料に、構造および性質を比較することを目的とし、以下の成果を得た。 (1) AnPGaseIの発現系および精製法の確立:A.niger ATCC9642のcDNAを調製し、プロセシングα-グルコシダーゼIに保存されているアミノ酸配列に基づいて設計したオリゴDNAプライマーを用いたPCR法によってAnPGaseIの遺伝子を取得した。 AnPGaseIは、グルタチオンS-トランスフェラーゼとの融合タンパク質として発現させ、グルタチオンアガロースによるアフィニティークロマトグラフィーにより精製することに成功した。 (2) AnPGaseIの性質の解析およびYgjKとの地較:我々はすでに、大腸菌よりプロセシングα-グルコシダーゼIと一次構造上相同性を有する酵素であるYgjKの発現系を構築し、X線結晶構造解析によりその立体構造を明らかにしている。AnPGaseIとYgjKの、N結合型糖鎖への作用をピリジルアミノ化糖を用いて解析したところ、N結合型糖鎖の切断部位は両酵素で同じであるが、YgjKの活性はAnPGaseIの1万分の1程度と大変低いものであることが判明した。
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