2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成の分子機構の解析と細胞外蛋白質品質管理機構の関与の解明
Project/Area Number |
20570105
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助教 (60324159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
小澤 大作 福井大学, 医学部, 特命助教 (60554524)
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Keywords | 生物物理 / 蛋白質 / アミロイド線維 / アルツハイマー病 / 透析アミロイド症 |
Research Abstract |
アミロイドは各種の前駆体蛋白質が重合した異常な線維であり、細胞外に蓄積し難治性疾患であるアミロイド症の原因となる。各種アミロイド線維、特にβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイド(透析アミロイド)およびアルツハイマー病βアミロイド(Aβ)に焦点を当て、(1)生体内環境を模倣した試験管内線維形成系モデルを構築し、生体内での線維形成機構を解明する。(2)細胞外の生体環境における蛋白質品質管理機構を解析し、それがアミロイド前駆蛋白質の凝集の抑制・促進にどのような効果を及ぼしているのかを解明する。(3)これらの解析によりモデルを作成し、アミロイド症の治療法の開発を試みることを目標とする。 本年度の成果:(1)生体内環境を模倣した試験管内線維形成系モデルの構築に関し、従来のAβ1-40ペプチドによる試験管内アミロイド線維形成反応系を改良した。Aβ濃度は5μM以上では自発的に線維形成すること、5μM以下でも気液界面があると線維形成することを見出している。そこで、強力に線維形成を誘起する気液界面を排除した上で、重合反応を促進させる方法を見出した。これにより、生体分子による比較的弱い線維形成誘起能を測定することが可能になった。(2)細胞外蛋白質品質管理機構に関して、血中に豊富に存在するα2-マクログロブリン(α2M)が、β2-mアミロイド線維形成を抑制する機構について、試験管内反応系を用いて解析した。β2-mは線維形成の際に低濃度の界面活性物質等で、部分変性する必要がある。同時に、天然状態ではテトラマーであるα2Mが、この変性環境下ではダイマー化し、疎水性領域を露出させ、変性β2-mと強く結合することを見出した。α2Mはこの機構により、分子シャペロンとしてアミロイド線維形成を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(9 results)