2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳に局在するポリシアル酸構造と脳由来神経栄養因子との相互作用の解析
Project/Area Number |
20570107
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (10343211)
|
Keywords | ポリシアル酸 / 糖鎖 / シアル酸 / 脳・神経 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
本研究でこれまでに、脳に局在するポリシアル酸がBDNFと直接結合すること、巨大な複合体を形成すること、BDNF-ポリシアル酸複合体中のBDNF分子はBDNF受容体TrkBやp75NTRに容易に移行し、特にTrkBへは複合体中の30%程度のBDNFが、p75NTRへは50%程度が移行することが明らかになった。本年度はこのBDNF-ポリシアル酸複合体中からのBDNF分子の受容体への移行のメカニズムを明らかにするために、BDNF-ポリシアル酸相互作用の親和性の測定を行った。分子間相互作用の測定はSPR法に基づいて行った。まず、BDNFとポリシアル酸の相互作用の測定を天然に近づけるため、ポリシアル酸を固相化し、BDNFをアナライトとして行うことを試みた。しかしBDNFをアナライトとし結合力を測定する際に、SPRの測定の際にセンサーチップの固相化表面によく用いられるカルボキシメチル基をもつ表面を用いると、カルボキシメチル基に起因する非特異的な結合が大きく、測定が正確にできないことが判明した。そこで我々は金表面のセンサーチップに自己組織膜を形成させるDBAを固相化し、その膜中にストレプトアビジンを吸着させ、その後ビオチン化ポリシアル酸を結合させることによりポリシアル酸表面のセンサーチップを作製し測定することとした。また、非特異的吸着の相互作用を極力排除するため、(GlcNAc)3-ビオチン固相化表面のセンサーチップも作製し、そのセンサーグラムを引くことによりポリシアル酸とBDNFとの純粋な相互作用を計測する系を確立した。その測定系において、BDNFとポリシアル酸の解離定数を求めたところ6.4×10^<-9>Mであることが判明した。p75NTRおよびTrkBのBDNFとの解離定数はそれぞれ、10^<-10>および10^<-12>Mである。したがって、BDNFはポリシアル酸鎖よりもBDNF受容体に対して10-1000倍高い親和性をもつため、BDNF受容体がポリシアル酸鎖の近傍に移動してくると、ポリシアル酸と結合しているBDNF分子がポリシアル酸鎖から受容体へとその親和性に差によって移動することが示された。
|
Research Products
(39 results)
-
[Journal Article] Survival signals of hepatic stellate cells in liver regeneration are regulated by glycosylation changes in rat vitronectin, especially decreased sialylation.2011
Author(s)
Sano K, Miyamoto Y, Kawasaki N, Hashii N, Itoh S, Murase M, Date K, Yokoyama M, Sato C, Kitajima K, Ogawa H.
-
Journal Title
J Biol Chem
Volume: 285
Pages: 17301-17309
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Developmental stage-dependent expression of an α2,8-trisialic acid uniton glycoproteins in mouse brain.2010
Author(s)
Inoko, E., Nishiura, Y,. Tanaka, H., Takahashi, T., Furukawa, K., Kitajima, K., Sato, C.
-
Journal Title
Glycobiology
Volume: 20
Pages: 916-928
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-