2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応により誘起されるテロメアDNAの構造変化
Project/Area Number |
20570108
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金折 賢二 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (30273543)
|
Keywords | ラジカル / 核酸 / 損傷 / NMR / ESR |
Research Abstract |
真核生物の染色体末端に存在するテロメアは、グアニン(G)塩基に富む反復配列をもつテロメアDNAとこれに結合するタンパク質から構成される。このテロメア部位を構造化学的に解明していくことは重要である。ストップトフローESRおよび光吸収を使用して研究を開始し、ヒドロキシルラジカル(・OH)やスーパーオキサイドアニオンラジカル(O_2^-・)を発生させて、テロメア配列の損傷を検証した。さらに、平行して、亜硝酸によるテロメアDNAの損傷についても研究を行なった。まず、フロー法やストップトフロー測定法を用いるため、大量のDNAを合成し精製した。これらのDNAオリゴマーのラジカル化反応について解析するために、ストップドフロー装置の改良を行なった。新規のシステムとして、可視照射光により、O_2^-・を選択的に発生させるシステムを開発した。これらのシステムを評価するために、様々な生体関連物質の反応を解析し、十分なラジカルに対しての感度があることが判明した。 テロメアDNAの構造であるGカルテットは、結合するアルカリ金属イオンの違いにより構造変化が生じ、ラジカル反応が変化する可能性があるため、様々なアルカリ金属イオンについて、その損傷状況をNMRで測定した。四重鎖の状態で外側の塩基が損傷を受けて、キサントシンへと変化することが示唆された。また、二重鎖中での損傷についても、NMRと分子動力学計算を組み合わせて明らかにしつつある。現在、最終的な生成物については、三次元液体クロマトグラフィーにより分取した後、質量分析やNMRにより同定中である。ESRの結果と併せてテロメアDNAのラジカル反応の構造特異性が明らかになりつつある。
|