2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応により誘起されるテロメアDNAの構造変化
Project/Area Number |
20570108
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金折 賢二 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (30273543)
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Keywords | ラジカル / 核酸 / 損傷 / NMR / ESR |
Research Abstract |
核酸をラジカル化するためのラジカルとして、生体系で重要な意味を持つスーパーオキサイドラジカルの発生系を構築した。スーパーオキサイドラジカルは、従来からの酵素による発生系ではなく、リボフラビンに可視光を照射して発生させた。それらを用いて核酸オリゴマーをはじめとする生体関連物質との反応解析を行った。ストップトフロー法もしくはフロー法を用いるためオリゴマー量としてはかなり必要であったため、Oxytricaとhumanテロメア配列を対象とした核酸オリゴマーを合成した。上記のストップトフローESRの結果から安定ラジカルと核酸オリゴマーの最適反応条件を取得した後、ラジカルとDNAオリゴマーを反応させて、NMRを用いて損傷部位の個数や配列位置をいくつか同定した。また、グアニンと反応してキサントシンやオギザノシンを与える亜硝酸と、G四重鎖との反応についても、NMRを用いて研究を進めた。G四重鎖の指標であるHoogsteen型水素結合に関与しているG塩基のイミノプロトンシグナルを1次元NMRで観測し、同時に、オギザノシンを導入したDNAオリゴマーについてその構造を解析した。かなり複雑なスペクトルとなったため、キサントシンのモデルとしてイノシンを導入したオリゴマーを多種類準備し、これらのNMRスペクトルを測定解析した。現在、2次元NMRを用いて損傷DNAが構造解析し、構造転移の詳細や安定性の変化の由来を原子レベルで解明しつつある。G四重鎖構造のNMRデータが蓄積されたので、分子モデリングソフトと分子動力学計算を用いてテロメアのG塩基の損傷とG四重鎖の不安定化についても研究をおこなった。
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