2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応により誘起されるテロメアDNAの構造変化
Project/Area Number |
20570108
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金折 賢二 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30273543)
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Keywords | ラジカル / 核酸 / 損傷 / NMR / ESR |
Research Abstract |
平成22年度においては、テロメアDNAに生じたラジカルとタンパク質の架橋体をおもに研究した。テロメアはDNAとタンパク質の複合体であることから、タンパク質側鎖と損傷核酸の反応を研究することは生理学的にも重要である。まずアミノ酸残基による特異性を検討していくために、アミノ酸や短鎖ペプチドと損傷塩基との反応について検討した。テロメアDNAのグアニン塩基が酸化して生じるオギザニン塩基を用いて研究を進めた。アミノ酸であるシステインとの生成物をHPLC、MS、NMRで分析してその反応生成物を確認した。その結果、システインのチオール基との反応性が高くさらに転移反応が確認できたので、チオールとオギザニン塩基との反応をさらに研究するために、チオール基やジスルフィド基をもつタンパク質へと対象を広げた。1つは、髪の毛のタンパク質である線状タンパク質であるαケラチンであり、もう1つはその立体構造がよくわかっていて、反応性の高いチオールをただ1つ持つヘモグロビンである。αケラチンについては、まずジスルフィドアニオンラジカル(-S-S^<-・>_-)およびトリスルフィド中性ラジカルの生成とその消失機構およびチールラジカル(-S^・)の生成と反応性の基礎的データを取得した。ヘモグロビンについても研究を進めて、チオール基と損傷核酸との反応について研究中である。また、光励起と遷移金属イオンを含むペプチドを組み合わせた反応についても研究を行い報告した。前年度からの継続として、フローインジェクションESRのシステムを改良して、スーパーオキシドアニオンラジカルと核酸との反応によるラジカル検出と生成物解析を試みた結果についても学会で報告した。
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