2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線構造による脳内新規EFハンドタンパク質Iba1のシグナリング分子機構の解明
Project/Area Number |
20570109
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
神鳥 成弘 Kagawa University, 総合生命科学研究センター, 教授 (00262246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕美 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (10313305)
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Keywords | カルシウム結合蛋白質 / EFハンド蛋白質 / 多量体形成 / 動的光散乱 / 変異蛋白質 / X線構造 / ミクログリア / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脳内免疫細胞特異的タンパク質Iba1は,脳内免疫細胞(ミクログリア)活性化に深く関与する新規EFハンドカルシウム結合タンパク質である。これまでに,われわれは,カルシウム非存在下,および存在下でIba1のX線結晶解析を行い,Iba1がカルシウム依存的に単量体から2量体へと分子会合状態を変化している可能性を提唱してきた。今年度は,動的光散乱の測定により,水溶液中におけるIba1のカルシウム依存的コンフォメーション変化を観察することを試みた。DynaProNanostarシステムを用いて,ヒトIba1の動的光散乱による分子径を測定したところ29Åであった。1mM CaCl_2,あるいは2mM EDTAを添加して測定したところ,分子径に有意な差異はみられなかった。得られた分子径とX線構造から考えて,Iba1は,カルシウムの有無に関わらず水溶液中において2量体で存在していると予想される。カルシウム非存在下における単量体構造のIba1の結晶化条件(5mM NiCl_2を含む)で分子径を測定したところ単量体構造の分子径とほぼ等しい15Åが得られた。Iba1は,2つのEFハンドを持つ。単量体構造では,ニッケルが1つめのEFハンドにあるAsp66と結合していたが,この位置は分子表面にあってカルシウム結合部位とは異なっていた。2量体構造においては,2つめのEFハンドにカルシウムが結合していた。以上より,カルシウム依存的にコンフォメーションを変え,2量体を形成すると考えていた。しかし,今回,動的光散乱の測定から,Iba1は,水溶液中では,カルシウム非依存的に2量体として存在し,ニッケルを含む条件下では,2量体が破壊され,あるいは2量体が形成できずに,単量体になるという新たな可能性が考えられた。現在,ニッケル以外の金属イオンでも同様の現象が見られるか詳細に検討中である。
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Research Products
(1 results)