2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線構造による脳内新規EFハンドタンパク質Iba1のシグナリング分子機構の解明
Project/Area Number |
20570109
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
神鳥 成弘 香川大学, 総合生命科学研究センター, 教授 (00262246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕美 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (10313305)
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Keywords | カルシウム結合蛋白質 / EFハンド蛋白質 / 多量体形成 / 多量体形成 / 変異蛋白質 / X線構造 / ミクログリア / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脳内免疫細胞特異的タンパク質Iba1は,脳内免疫細胞(グリア細胞)活性化に深く関与する新規EFハンドカルシウム結合タンパク質である。われわれは,これまでにカルシウム存在下および非存在下でIba1のX線結晶解析を行い,結晶状態では,Iba1がカルシウム存在下において2量体,非存在下において単量体を形成していることを明らかにした。この結果からIba1がカルシウム依存的に単量体から2量体へと分子会合状態を変化させていることが予想された。しかしながら,動的光散乱による水溶液中でのIba1の分子会合状態の観察を行ったところ,カルシウムの有無に関わらず,分子は2量体を形成していると考えられる27Aであった。そこで今回,様々な条件下で動的光散乱を測定することにより,Iba1の分子会合状態変化が引き起こされる要因について検討した。その結果,polyethylene glycol monomethyl ether 2000(PEGMME2000)を添加することにより,単量体の分子径である11-13Åが観測されることがわかった。Iba1は,生体膜成分の1つであるホスファチジルセリンと相互作用するという報告がある。PEGMME2000を添加することにより疎水性が増し,生体膜近辺の環境に近くなっている可能性があり,Iba1は,細胞質中と生体膜内側近辺とで,周囲の疎水的環境に応じて,2量体から単量体へと変化している可能性が示唆される。また,本年度は,新たな結晶系(空間群、P6_122)でのIba1の結晶構造解析に成功した。この結晶中では,Iba1は,これまでにない分子パッキングを形成しており,新たなオリゴマー形成様式が存在する可能性が出てきた。
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Research Products
(2 results)