2009 Fiscal Year Annual Research Report
SARSコロナウイルス3CLプロテアーゼの自己活性化機構の解明
Project/Area Number |
20570115
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村松 知成 The Institute of Physical and Chemical Research, システム研究チーム, 上級研究員 (70212256)
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Keywords | SARS / プロテアーゼ / プロセシング / 特異性 / 立体構造 |
Research Abstract |
SARSコロナウイルスのポリタンパク質のプロセシングにかかわる3CLプロテアーゼは、それ自身が内部に含まれるポリタンパク質の一部として発現し、自己プロセシングにより切り出されてくる。この自己プロセシングのメカニズムについて検討した。昨年度得られたC末端にプロ配列の一部10アミノ酸残基を有するプロ体でプロテアーゼ活性中心CysをAlaに置換したもののX線結晶構造では、これまでに知られていた3CLプロテアーゼの特異性から考えて、特異的認識を行っていないと思われる残基を認識するポケットが存在していた。また、3CLプロテアーゼのポリタンパク質中での上流および下流にそれぞれ10残基の天然のポリタンパク上に存在する配列をともなって発現するようなプラスミドを作成し、これを、大腸菌の無細胞タンパク質合成系で生産することにより、自己プロセシング反応を調べ、N末端の認識部位の変異体でN末端がプロセスされないものに関してもC末端はプロセスされることを見いだした。これは、N末端のプロセシングが正確に行わなければプロテアーゼ活性が発現しないという従来の認識と矛盾する。 これに対し、プロセシングを終えた成熟型3CLプロテアーゼがポリタンパク質の他の部分の切断に関与する場合のメカニズムとこのプロテアーゼ自身がポリタンパク質から自己を切り出してくる自己プロセシングのメカニズムは異なるものであるとの仮説を立てた。上記プロセシング解析系において、切断箇所前後の変異体を作成し解析したところ、N末端がプロセスされた成熟型の酵素とN末端がプロセシングされていない酵素ではC末端切断箇所の特異性が異なることを見いだし、この考えが正しいことを確認した。現在、解析を精密化し、発表に向けて準備中である。
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