2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖変異マウスを利用したメタボリックシンドロームの病態解明
Project/Area Number |
20570122
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 匡 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (30220338)
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Keywords | 糖脂質 / ノックアウトマウス / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
GM3合成酵素(GM3S)欠損マウスはインスリンレセプターの恒常的な高リン酸化の状態を示すことが既に示されている(Yamashita T et.al.PNAS., 2003 100(6) : 3445-9.)。このマウスは、酸素消費量を指標とした基礎代謝量が上昇していること、骨格筋や脂肪における脂肪酸や酸化酵素やエネルギー代謝に関わる分子の発現に変化があることが期待される。これらのマウスから樹立した肺性繊維芽細胞(MEF)における細胞増殖能の亢進と脂肪細胞への分化実験の結果、脂肪の蓄積に有為な差が観察された。また、この増殖の亢進と糖脂質、糖タンパクの違いも観察され、現在、これらの現象と糖鎖がどのように関連するか検討中である。一方、メタボリックシンドローム、特にin vivoにおける脂肪細胞の増殖に関し、近年免疫系の関与が示唆される発表が見られる。そこで、GM3S欠損マウスの免疫能を調べた結果、サイトカインの産生量に変化が観察された。これらの結果は、細胞膜の脂質成分の変化が免疫能に影響を及ぼしていること、脂肪細胞の増殖に何らかの関与を示唆する結果である。また、メタボリックシンドロームの終末的な症状として、変形関節炎等の骨格に関わる症状が観察される。これらの症状に関しても、上記モデルマウスによる実験が可能であることが明らかになった。つまり、軟骨再生や化骨に関しても糖脂質の関与を示唆する結果が得られている。今後は、上記の結果をもとにして、これらフェノタイプと関連する分子の探索とそのメカニズムの解明を目指す予定である。
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Research Products
(9 results)