2008 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの代替的呼吸酵素の新規阻害剤の探索とその生化学的・医学的展開
Project/Area Number |
20570124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 立志 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特任講師 (90219965)
|
Keywords | 感染症 / 天然抗生物質ライブラリー / 呼吸酵素 / 阻害剤 / スクリーニング / ミトコンドリア / 多剤耐性菌 / 抗菌剤 |
Research Abstract |
薬剤耐性菌による感染症の治療を目指し、従来の抗生物質と異なる標的・作用機構をもつ薬剤としてヒトミトコンドリアには存在しない呼吸酵素の阻害剤を同定するため、天然抗生物質ライブラリーのスクリーニングを行った。1)呼吸鎖が単純な酢酸菌Gluconobactoer oxydansの膜表在性NADH脱水素酵素(NDH2)をμMのIC50値で阻害する化合物としてスコパファンギンとグラミシジンSを同定し、両者は結核菌モデルのMycobacterium sumegmatisの酵素も阻害することを明らかにした。2)大腸菌のbd型キノール酸化酵素の阻害剤としてグラミシジンSとプレニルフェ=ノール類LL-Z1272を同定し、援者のアナログには犬腸菌bo型キノール酸化酵素や寄生性原虫の膜表在性キノール酸化酵素に有効なものが含まれていた。3)シアノバクテリアのbd型キノール酸化酵素の反応機構を解析し、阻害剤としてオーラシン、アンチマイシンAなどを同定した。4)NDH2とキノール酸化酵素の新規阻害剤を同定し、代替呼吸酵素を標的とする抗菌剤開発が可能であることを示した。5)UVプレートリーダーを用いたスクリーニング条件を確立し、1日の処理数を10倍(2,000アッセイ)に改善し、サンプル使用量を85%削減できることを示し、本年度の計画を達成した。更に、6)細菌酵素阻害剤が原虫酵素にも有効だったので、ヒトと系統的に離れているマラリア原虫のNDH2とコハク酸脱水素酵素(SDH)を調べ、基質結合親和性や阻害剤感受性が異なっており、特異的阻害剤の開発が可能であることを示した。7)4個のサブユニットからなるヒトSDHに対して原虫トリパノソーマのSDHは12個のサブユニットで構成され、阻害剤感受性も異なっていた。このサブユニット数の増加は、退化した重複遺伝子産物の蓄積に由来することを示した。
|
Research Products
(16 results)