2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570125
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井筒 ゆみ 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20301921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
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Keywords | アフリカツメガエル / 両生類 / 幼生 / 皮膚 / 細胞死 / T細胞 / 免疫 / 抗原 |
Research Abstract |
両生類の変態期における尾の消失は、脊椎動物の発生過程で起こる劇的な器官形成の例である。我々が単離・同定した自己抗原遺伝子ouro1(オウロ1)とouro2(オウロ2)は、この尾の消失の際に発現する。2つ共、尾に特異的に発現し、かつ、変態期の尾が退縮する時期に限定して発現する。従って、オウロ遺伝子は、尾の消失に関与することが推定された。実際、トランスジェニックツメガエルを作製し、生体内で過剰発現させると、オウロ遺伝子を2つ同時に過剰発現させた時だけ早まった尾部崩壊が起こり、単独では機能しない。ここで、この共発現が、どのように尾の崩壊に作用するのかについては未だ未解決である。ツメガエルの腎臓由来の細胞株A6を用いて、GFPあるいはDsRedと融合させたオウロ1とオウロ2それぞれの遺伝子を、単独あるいは共発現させ、レーザー顕微鏡を用いて観察すると、単独で発現させたオウロ1は、共発現させることによってオウロ2と完全にオーバーラップして発現することが解った。量的には、有意差を持って共発現と単独発現との差が認められた。ツメガエルの成体・幼生を用いて様々な組織における発現を、リアルタイムPCRを用いて調べた結果、幼生の尾の皮膚組織以外では発現していないことが示された。従って、このシステムは、ツメガエルにおいては尾に限局して働いている可能性がある。本年度は、国際学会での招待講演ならびに、国内での招待シンポジウムがあり、国際学会には大学院生も同行し、英語での発表を行った。動物の器官形成に免疫系の自己/非自己の認識が、死ぬ/生き残る組織への認識へも関わっているという、特に、マクロファージなどによる単なる貪食作用でないT細胞の抗原認識が関わっているという観点からの研究は、国内外において本研究以外無い。従って、多くの人に研究の内容を伝えることが出来たことが、今年度の成果の最も大きなものである。
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