2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルノシンによる哺乳類の恒常性維持の分子機構とカルノシン分解酵素CNDP2の解析
Project/Area Number |
20570132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 宣明 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (20224173)
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Keywords | カルノシン / ペプチド / 立体構造 / ペプチダーゼ / 代謝 |
Research Abstract |
カルノシン(beta-alanyl-L-histidine)は哺乳類の脳や筋肉に高濃度で存在するジペプチドで、亜鉛をキレートする作用があることなどから生体内で抗酸化物質として働くことなどが予想されているが、真の生理機能は明確ではない。われわれはこれまでに、カルノシンが脳内でヒスタミン神経系に作用することを見出し、体内環境の恒常性維持に関与することを明らかにした(Nagai et al. 2003など)。また、カルノシンを分解する酵素の一つ(CNDP2)をクローニングし(Otani etal. 2005)、その立体構造を明らかにし(Unno et al., 2008)、現在さらにその構造と機能の解析をすすめている。本年度においては、これまで我々が得たL-カルノシンとCNDP2に関する知見をふまえ、CNDP2の生理機能の分子的作用基盤を明らかにすることを目的として、以下のような実験結果を得た。 これまでの解析から、CNDP2がメタロペプチダーゼM20ファミリーに属すること、水溶液中でダイマーを形成していること、ダイマーの相互作用領域にあるヒスチジン228が活性に必須であることなどが明らかになっている。本年度には、ダイマーであることが活性の発現に必須であること、また、ヒスチジン228はダイマー形成による活性の発現に必須であることを証明した。またこのヒスチジンは他の多くのM20ファミリーに保存されていることを見出し、このヒスチジンの関与するダイマー形成による加水分解反応の機構が、M20ファミリーの普遍的な反応機構であることを明らかにした。CNDP2については、さらに免疫組織化学によりマウスにおいて脳以外にもいくつかの臓器の特定の細胞に高い発現が認められ、CNDP2がいくつかの異なる生理的役割を持つことを明らかにした。今後その生理機能についてさらに検討をすすめる予定である。
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Research Products
(6 results)