2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジアシルグリセロールキナーゼによるNFκB活性化機構の解明
Project/Area Number |
20570135
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
甲斐 正広 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80260777)
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Keywords | ジアシルグリセロールキナーゼ / メラノーマ / NFκB / プロテインキナーゼC / 大腸がん |
Research Abstract |
前年度までに我々はヒトメラノーマAKI細胞において、正常メラノサイトに比べ過剰に発現したジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)αが、腫瘍壊死因子(TNFα)刺激によるアポトーシス誘導を阻害すること、このシグナル伝達はプロテインキナーゼCζによるNFκB p65サブユニットのリン酸化を伴うことなどを明らかにした。この知見から、メラノーマのDGKαの発現を抑制してやることによってそのアポトーシスを誘導する事が容易になるという可能性が考えられる。本年度ではこの可能性について検討した。まずヌードマウスにAKI細胞を皮下注射し、腫瘍を形成させた。腫瘍径が約1mmまで成長したところで、腫瘍の周囲にマトリゲルとともにDGKαのsiRNAを注射(Day0、4の2回)、コントロールsiRNAを注射した腫瘍と腫瘍成長速度の違いを観察したが、両者に有意な差は見られなかった。そこで2回目のsiRNA注射時にTNFαを合わせて注射して実験を行ったところ、Day11の時点でDGKα siRNA投与群はコントロールsiRNA投与群に比べて有意に腫瘍成長が抑制されていた。この結果は、in vitroで観察されたように、DGKαの発現が抑制されたことにより、TNFαによるアポトーシス誘導が効果的に機能したためと考えられ、DGKα発現抑制がメラノーマ治療に有効であることが示唆された。我々はさらに大腸がんにおいてDGKの別アイソザイムγがエピジェネティックに発現抑制されていることも明らかにした。現在、がんとDGK発現異常の関係をさらに検討している。
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Research Products
(2 results)