2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムセンサー転写因子NPAS2による体内時計制御と情報伝達の分子機構
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20570139
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
佐上 郁子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10143033)
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Keywords | シグナル伝達 / 分子認識 / 金属タンパク質 / 体内時計 / DNA結合活性 / ガス小分子 |
Research Abstract |
平成21年度の研究で、NPAS2のDNA結合活性のCOによる制御には、NPAS2のPASAヘムセンサードメインのヘムの内部配位子のひとつであるH171の隣のC170がCOによる機能阻害に関与することを明らかにした。そこで平成22年度は、C170で感知されるシグナルが、BMAL1とのヘテロダイマー形成あるいはDNA結合部位であるbHLHドメインへどのように分子内で伝達されるかを明らかにするために、更に5つの変異体を作製し、DNA結合活性の解析を行った。これまでの結果ではいずれの変異体もホロ、アポともにDNA結合活性を示すことが分かったが、まだCO結合による活性を解析中である。また、活性型のNPAS2/BMAL1ヘテロダイマー形成はNAD(P)Hにより促進され、NAD(P)+により阻害されると報告されているが詳細は不明である。そこで、NPAS2とNAD(P)H補因子との相互作用について解析を行った。NPAS2のDNA結合ドメインであるbHLHドメインのC末端側からの欠損変異体を用いて、そのDNA結合活性に対するNADPHの効果を調べた。その結果、NPAS2のN末端の61アミノ酸(1-61aa)だけでもBMAL1とヘテロダイマーを形成してDNAに結合し、その結合活性はNADPH濃度依存的に増加した(EC^<50>=2.5mM)。このことから、NADPHとの相互作用に必要なNPAS2の領域は、1-61aa領域にある事が示唆される。また、BMAL1のみの系に5mM以上の高濃度のNADPHを加えたところ、BMAL1ホモダイマーのDNA結合活性はNADPH濃度依存的に阻害された。したがって、NADPHはNPAS2-BMAL1ヘテロダイマーのDNA結合に対しては正の、BMAL1ホモダイマーのDNA結合に対しては負の制御効果を持つことが示唆される。さらに、NPAS2のbHLH-PASAドメインの構造を明らかにするために、大量精製系を工夫し約800条件での結晶化を試みたが、まだ未完成である。
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