2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570141
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
中村 辰之介 Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences, 薬学部, 教授 (20114308)
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Keywords | 膜タンパク質 / 物質輸送 / 細胞生物学 / エネルギー代謝 / イオン輸送 |
Research Abstract |
光合成細菌であるシアノバクラリアの中でも好塩性が強い細菌であるAphanothece halophyticaには、Na^+/H^+交換輸送活性あるNapA1-1,NapA1-2,NhaP1などの膜タンパク質の存在を報告してきた。この細菌のゲノムを調べると、窒素固定細菌のPhaシスラムと相同性があるクラスター遺伝子(Ap-mrpCD1D2EFGAB)が見つかる。PhaシステムはK^+排出活性がある膜タンパク質をコードする遺伝子群として報告されたが、Phaシスラムと相同性がある窒素固定細菌以外の活性は主にNa^+排出活性があることが報告されている。今回、好塩性シアノバクテリアA.halophyticaの上記遺伝子をクローニングして、その活性を、3種類の交換輸送系を欠損させ、Na^+、Li^+、K^+の排出活性が弱い変異株TO114に遺伝子導入し、そのイオン輸送活性を測定した。反転膜小胞の結果、この遺伝子群はNa^+/H^+あるいはK^+/H^+交換活性があるが、K^+/H^+交換活性が無いことが示され、この結果から導かれるように、TO114のNa^+あるいはLi^+感受性を部分的に補い、NaClやLiClを加えた培地でTO114を生育できるようにさせた。好塩性が弱い、通常のシアノバクテリア(Synechococcus sp.PCC7942)にもA.halophyticaと同様にmrpCDEFGABが見つかる。この株のmrpAをノックアウトしたところ、野生株と比較して生育に対してNa^+感受性が増し、さらに、光合成を行う能力に対するNa^+の阻害効果が増大した。以上の結果から、シアノバクテリアのmrp遺伝子群はNa^+排出活性を担っている膜タンパク質をコードしていることが示された。今後は、NapA1-1,NapA1-2,NhaP1などはたった一つの膜タンパク質でNa^+排出活性があるのに対して、MrpCD1D2EFGABは何故8種類もの数多くの膜タンパク質が存在する必要があるのか検討する。
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