2011 Fiscal Year Annual Research Report
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20570141
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
中村 辰之介 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (20114308)
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Keywords | 細胞内pH調節 / Na^+/H^+交換輸送系 / NHE / NhaA / K^+/H^+交換輸送 / NhaP2 |
Research Abstract |
ヒトの細胞内pHはどのように調節されているのか、その仕組みはわかっていない。Na^+/HCO_3^+共輸送系は細胞内pH調節に働いているし、Na^+/H^+交換輸送系NHEは調節済みの細胞内pHを外部刺激によってアルカリ化することができる。このように、ヒトの細胞内のpHは都合の良い値に調節されているが、どのように調節されているのかその仕組みは明確とは言えない。ヒトの細胞の生存には、厳密な外部pHの調整が要求されるので、外部pHを変動させて内部pHがどうなるのかという実験することは困難である。大腸菌やVibrioのような細菌は、外部pHが6から9まで生育することができる。そのような利点が細菌にはあるが、細菌の細胞内pHがどのように調節されているのか、依然として明確にはなっていない。大腸菌においてはNa^+/H^+交換輸送系NhaAが細胞内pHを酸性化して調節しているという考えもあるが、NhaAは誘導系タンパク質であり、nhaAを欠損させた変異株でも細胞内pHは調節されるので、その考えは間違っている。それでは何が中性付近で生育する細菌の細胞内pHを調節しているのかと言えば、我々は(1)最初に、電子伝達系が細胞内pHをアルカリ化している。(2)細胞内pHが7.5よりもアルカリ化すると細胞内からK^+が漏れ、K^+と1:1の交換比率でH^+が取り込まれ酸性に戻され、細胞内pHは調節されている。このように考えると良いという報告はしているが、残念ながらこれまでK^+/H^+交換輸送を行う膜タンパク質をコードする遺伝子は見つかっていなかった。数年前、我々はNhaP2というK^+の濃度勾配に逆らって排出する起電的なK^+/H^+交換輸送を見つけた。本年度は、(i)NhaP2は細胞内pHの調節系ではないこと。(ii)細胞内pHを調節するK^+/H^+交換輸送を見つけたいとして実験を進めた。その結果、nhaP2の欠損変異株を取り、(i)は正しいという結果は得られたが、残念ながら(ii)はまだ得られていない。
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