2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570148
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 俊一 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (50321774)
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Keywords | セレノシステイン / セレノリン酸 / tRNA / サプレッサー / 翻訳延長因子 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
セレン(Se)はヒトを含め多くの生物の生存に必須の微量元素であり、細胞内では主にセレノシステイン(Sec)とよばれるアミノ酸としてタンパク質に取り込まれたかたちで存在している。Secは21番目のアミノ酸として知られており、リボソーム上で遺伝暗号にしたがってタンパク質に取り込まれるが、20種類の基本的なアミノ酸とは異なり、固有のタンパク質群をもちいてtRNA上で合成され、セレン含有タンパク質の遺伝子中の終止コドン(UGA)をSecコドンに読みかえて正確に挿人される。 このユニークなSec生合成・挿人の構造基盤を明らかにするために、系に含まれるタンパク質およびタンパク質複合体のX線結晶構造解析を行った。細菌由来のSec合成系タンパク質であるセレノシステイン合成酵素(SelA)およびセレノシステイン特異的延長因子(SelB)について、タンパク質を結晶化し、構造解析に成功した。また、古細菌由来のSerRSとtRNA^<Sec>との複合体の構造解析にも成功した(投稿準備中)。 tRNA^<Sec>は、通常のtRNAと異なる配列的特徴をもったtRNAで、Sec生合成経路で中心的な役割を果たす。ヒト由来tRNA^<Sec>の結晶構造解析に成功し、tRNA^<Sec>が他のtRNAにはないユニークな構造的特徴をもっていることを明らかにし、一報の論文としてまとめた。さらに、古細菌・真核生物において、Ser-tRNA^<Sec>をリン酸化する酵素であるPSTKとtRNAとの複合体の結晶構造解析に成功した。PSTKはtRNA^<Sec>に固有のDアームの構造を主に認識し、他のtRNAと識別していることを明らかにした(論文投稿中)。
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