2009 Fiscal Year Annual Research Report
被修飾タウ分子の病理的視点からの分子構造論:繊維性凝集と環境相互作用を中心に
Project/Area Number |
20570149
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
今野 卓 University of Fukui, 医学部, 准教授 (50225637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 良則 福井大学, 工学研究科, 准教授 (50324140)
森井 孝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90222348)
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Keywords | 蛋白質 / アルツハイマー病 / アミロイド / タウ蛋白 / リン酸化 |
Research Abstract |
21年度は、20年度に作成したタウ蛋白由来の部分ペプチドに加えて、さらに幾つかの変異体ペプチドやこれまでとは異なる部位の部分ペプチドを合成し、以下の研究を行った。 (1)20年度の研究結果より、ペプチドのアミロイド凝集がリン酸化によって影響を受けるメカニズムとして、少なくともその一部が静電的なものであると予測された。そこで、ペプチド上の様々な部位にリン酸化とは異なる変異によって電荷を導入し、その結果とリン酸化の結果を比較検討した。また溶液のイオン強度を変えた検討も行った。これらの試みにより、リン酸化がアミロイド凝集を左右する静電的機構が明らかになった。 (2)(1)におけるアミロイドの安定化メカニズムを分子構造レベルで議論するために、リン酸化体を含む様々な変異体ペプチドの形成する凝集体の構造を、まずナノスケールでの形態を電子顕微鏡と原子間力顕微鏡で詳細に記述し、続いてより微細な規則構造をX線繊維性回折で解析した。後者については、凝集体繊維を一定方向に配向させる様々な試みを行うことで、繊維軸方向の規則性とそれに垂直な方向のものとを詳しく分離して解析をおこなった。 (3)(2)における実験結果を解釈するために、コンピュータ上で作成した様々な分子モデル構造をもとにして、理論的に予測されるX線回折パターンを計算し、それを実験結果と比較した。これによって、リン酸化がどのような原子間の相互作用に影響を与えるかを詳しく議論することが可能となった。例えば、リン酸化が影響を与えるのは、基本繊維内部での原子間の相互作用だけでなく、基本繊維同士の界面でのそれにも寄与することが明らかとなった。この繊維間相互作用は、電子顕微鏡などで観察されたナノスケールでの形態変化を生み出していることも浮き彫りにされた。
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Research Products
(6 results)