2008 Fiscal Year Annual Research Report
アクチンファイバーの構造変化は新しい力学刺激受容機構として働く
Project/Area Number |
20570151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20171720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我部 正博 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10093428)
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Keywords | アクチン / コフィリン / 張力 / 脱重合 / 蛍光ラベル / 機械受容 / 量子ドット / 近接場光 |
Research Abstract |
我々は細胞骨格や接着構造を対象にして研究を進めてきたが、細胞骨格(ストレス線維:アクチン線維束)が力の伝達媒体として関与することを発見した(Hayakawa et al., 2008)。この時点で、力の伝達媒体であるアクチン自身が力学受容の装置として働いている可能性はあったが、科学的に検討することはできなかった。その後アクチン繊維が力学受容機構を内在していることを示すデーターをアクチンに力学付加をかけつつアクチン切断分子コフィリンを作用させることで得ることができた。この結果はチャネル以外に機械受容する実体が存在することをはっきり示すもので、大変重要なので、現在論文投稿準備中である。しかし、力学受容機構であるアクチン繊維がどのようなメカニズムで動作しているかは依然不明である。この分子的メカニズムの解明が本研究のテーマである。コフィリンによるアクチン繊維の脱重合作用が張力により制御されているメカニズムとして以下の2つの仮説が考えられる。1)張力によるアクチン繊維の構造変化がコフィリンのアクチン繊維への結合を制御している。2)張力の有無にかかわらずコフィリンはアクチン繊維に結合し、アクチン繊維の張力はそれに結合したコフィリンの酵素活性を調節している。これらの仮説を検討するために、ガラスピペットによりアクチン繊維を引っ張った状態あるいは緩めた状態で保持し、そこに外部から蛍光ラベルしたコフィリンを投与して、張力依存的にコフィリンのアクチン繊維への結合が起こることを調べた。その実験結果は1)の仮説を支持するものであった。またコフィリンの結合の時間と頻度の分析も行った。この実験からアクチン繊維に与える張力を減少すると、コフィリンの結合サイトがあらわれて、コフィリンの結合が促進することを示すものである。
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Research Products
(4 results)